大変革への対応として、まず、技術・ビジネス面における外部環境の変化を整理しました(概要ですが)。大きく、「電気自動車」「自動運転」「サービス」を中心に、影響を及ぼす要素を列挙しています。「電気自動車」「自動運転」は連携して進行し、さらに「サービス」は「電気自動車」「自動運転」をビジネス視点、インフラ視点等で変換しながら拡張するイメージです。
次いで、外部環境の変化を「技術面」「事業面(主にサービス)」視点で整理しました。主に、今後の変化で重要になる要素を各分野(Gr)ごとに記載しました。この整理をみても、自動車産業が従来の産業構造とは全く異なるものになることは明白です。
上記の環境変化の整理を単純化すると下図のようになります。
エンジン自動車が電気自動車になり、自動運転が進展して社会インフラ化し、電気自動車を情報収集端末とした情報プラットフォームが構築され、関連する様々なサービスが案出・提供されることが予想されます。
全体として、初期段階では「技術」面が重要ですが、次の段階では「社会インフラ」「情報プラットフォーム」「サービス」の視点が重要になり、最終的には「社会インフラ」「情報プラットフォーム」「サービス」を握る企業が強い支配力を有することになると考えます。
この流れは、過去の事例と重なります。具体的には、携帯電話機からスマートフォン、標準規格の支配という通信分野の事例や、TV等の家電の事例とイメージが重なります。戦略・注力の仕方を間違えると、通信分野・家電分野の二の舞いになる可能性があります。
そのため、通信分野・家電分野における成功例・戦略を確認することが有益であると考えます。
成功例・戦略のポイントを下図に列挙しています。
マイクロソフト
・パソコンOS+インフラ化
グーグル
・情報プラットフォーム(インフラ的)、
・携帯OS(インフラ的)
・情報利用
アップル(重要モデル)
・携帯端末(操作性UP)+ITサービス・仕組み⇒使用後の価値上昇
・携帯端末を利用した新規ビジネス(音楽、アプリ、健康ビジネス等)
クアルコム
・通信プロトコル支配、標準
アマゾン
・ITサービス
・代替流通推進(ドローン等)
FB等のSNS
・個人情報プラットフォーム
・情報利用
GE
・モノ⇒サービス化(IoT利用)
テスラ
・電気自動車、自動運転
旧電気・電子系企業(一部)
・インフラ事業にシフト
サムスン等
・事後的な大型投資(価格競争力、標準)
上述の通信分野・家電分野での成功事例を参考に、自動車産業の変化へ対応する戦略の視点を下図に列挙しました。
「電気自動車」分野
○標準化活動
・(必須)特許数多、オープン&クローズ
○事後価値UP化
・システム・アプリ連携
○情報端末化
・操作性
・用途の多様化
・サービス対応
・単なる移動端末化は懸念材料
「自動運転」分野
○標準化活動
・(必須)特許数多、オープン&クローズ
○情報プラットフォーム(上流)・OS
○インフラ化
・社会実装
「新サービス」分野:高付加価値領域
○従来の向上:燃費・騒音・環境等、メンテ、販売、中古車
○社会:無人タクシー・バス、物流、シェア、広告送迎、移動連携、交通網・地図、ネット連携
○個人:エンタメ、パーソナル化、携帯連携、遠隔操作
○その他:保険(予防技術)
上記視点を「自動車メーカ」の「経営・事業戦略」「知財戦略」に落とし込むと、例えば、下記のような視点になります。
<経営・事業戦略>
○社会インフラ事業:規模大、安定、継続、外国へ転用、情報プラットフォーム化
○情報プラットフォーム・OS:情報収集優位、自動車ビジネス・新サービス主導
○電気自動車:本丸事業、シェア拡大で情報・サービス面でも優位、端末化懸念
○自動運転:業界主導、社会インフラ・情報プラットフォームへの足掛かり
○新サービス:高付加価値領域、自動運転との連動、電気自動車をハブとするサービス、自動車利用するサービス、保険等の関連サービス、IT企業等に先駆けて検討
<知財戦略>
〇電気自動車:標準、特許件数多、オープン&クローズ
〇自動運転:標準、(必須)特許件数多
〇サービス:積極的な発掘、創出
〇知財重心:モノ⇒データ、システム、サービス
〇発明創出部門・工程が変更+データ視点へ
〇権利化(クレーム等)の視点変更に留意(立ち位置の変化等)
基本は、変化を正確に把握し、自社の立ち位置を確認し、必要な戦略を立案・実施することが非常に重要であると考えます。
更には、自動車産業においては、通信分野・家電分野における反省点・成功事例を十分に理解し、全体的な戦略を立案・実施することが求められると考えます。
また、自動車メーカといえども、全ての分野について単独で対応できませんので、最終的な立ち位置を意識しながら、有効な協業体制を構築することが重要であると考えます。
知財情報は、その道の専門家の見込み・予測の集積ですので、知財情報分析を有効に利用して、将来予測・競合分析・技術動向把握等により、自社の立ち位置の確認・戦略立案することで、大変革を主導することをご期待いたします。
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