自動車産業の進化により生じる企業の業態変化に関する考察

 IoT、ビックデータ、AI等を中心とする第4次産業革命が進むなか、自動車産業においても自動運転技術、電気自動車や新サービスの出現等、大きな変革期をむかえている。自動車産業の業界(以下、「自動車業界」という。)の企業(以下、「プレーヤー」という場合がある。)の業態も大きく進化・変化しようとしている。 

 このような状況のなか、本研究においては、まず、自動車業界における外部環境の変化や技術動向の変化に基づき、自動車業界における業態変化の態様について整理する。次いで、過去のイノベーション・戦略の事例から抽出される視点に基づいて、業態変化・視点・知財戦略等につての戦略モデルをつくる。そして、電気自動車・自動運転・サービス分野を中心に特許調査し、自動車業界のプレーヤーにおける動向(一部)を分析すると共に、戦略モデルを基準にした評価等をすることを試みる。また、知財活動については、外部環境変化や業態変化に対応した積極的な知財活動案等を検討する。

 

(IPNJ国際特許事務所 弁理士)乾 利之・(東京工業大学大学院 教授)田中 義敏

 

Study on business change in automobile companies caused by evolution of automobile industry

IPNJ PATENT ATTORNEYS OFFICE Toshiyuki, Inui; 

Department of Industrial Engineering and Economics, School of Engineering, Tokyo Institute of Technology Yoshitoshi, Tanaka 

★学会当日の発表内容は、以下に記載の内容に、追加調査分析(自動車業界変化の概要、グラフ等)を追加した内容です。

★また別途、自動車業界の詳細分析+サプライヤー業界の分析を追加した調査分析も行っております。

ご興味のある方は、下記よりお問い合わせください。

1.背景および目的

 IoT、ビックデータ、AI等を中心とする第4次産業革命が進むなか、自動車産業においても自動運転技術、電気自動車や新サービスの出現等、大きな変革期をむかえている。自動車産業の業界(以下、「自動車業界」という。)の企業(以下、「プレーヤー」という場合がある。)の業態も大きく進化・変化しようとしている。

各企業においては、外部環境の変化や技術動向を把握すると共に、過去のイノベーション・戦略の事例(特に、通信・携帯端末、家電等)を踏まえた技術・事業・知財戦略により、好適かつ優位に業態変化を進めることが望まれる。

 知財活動においても取り扱いの対象が「モノ」から「データ・システム・ビジネス仕組み(サービス)」に変化している。また、発明創出ポイントや権利化の視点も変化してきている。更にはIPランドスケープ等の周知化により、業務内容は更に複雑化してきている。知財活動においても変革期であるといえる。

 このような状況のなか、本研究においては、まず、自動車業界における外部環境の変化や技術動向の変化に基づき、自動車業界における業態変化の態様について整理する。次いで、過去のイノベーション・戦略の事例から抽出される視点に基づいて、業態変化・視点・知財戦略等につての戦略モデルをつくる。そして、電気自動車・自動運転・サービス分野を中心に特許調査し、自動車業界のプレーヤーにおける動向(一部)を分析すると共に、戦略モデルを基準にした評価等をすることを試みる。また、知財活動については、外部環境変化や業態変化に対応した積極的な知財活動案等を検討する。 

2.自動車業界の変革期

(1)変革への対応

 IoT、ビックデータ、AI等を中心とする第4次産業革命が進むなか、自動車産業においても大きな変革期をむかえている。自動車産業の構造変化(図1参照)[1]により、各プレーヤーの業態が変化してきている。

 また、上記変革・変化において、各プレーヤーは、技術面での変革と、事業面での変革との両面を把握しながら、自己の業態変化について戦略立案・実施していく必要がある(図2参照)[2]。

 

 

(2)外部環境および重要分野

 自動車業界における外部環境の変化として、技術進化面(AI、BD,IoT、通信5G化、効率化・最適化等)、エネルギー・環境面、社会環境面(データ主導、ネット社会、シェアエコノミー、人出不足、地域問題等)等において大きな変化が生じている。

 ここで、自動車業界における技術面およびビジネス(事業、業態)面の双方の視点より、特に注目すべき重要分野として、「電気自動車」「自動運転」「新たなサービス」があげられる(図3参照)。

 

(3)過去のイノベーション・戦略を踏まえた業態変化の視点

 変革期においてはイノベーションや優れた戦略が業界動向や企業活動に大きな影響を及ぼす。そのため、変革の流れに沿って対応するだけでは十分ではなく、過去のイノベーション・戦略を踏まえた上での業態変化が必要である。 

 成功した事例から有効な戦略・視点が抽出可能であり、成功事例以外の事例(特に日本企業が後手にまわった事例)からは留意すべき戦略・視点が抽出可能である。近年の事例としては、「通信プロトコル」「携帯端末・スマートフォン」「家電」の事例は、自動車業界における「自動運転」「電気自動車」の態様に重なるように感じるため、考慮すべき事例であると考える(図4参照)。

 ここで、過去のイノベーション・戦略における事例により事業・知財戦略における重要な視点を抽出すると共に、「自動運転」「電気自動車」「新サービス」それぞれにおけるビジネス・知財戦略の重要な視点を整理した(図5参照)。

(4)戦略モデル

自動車業界のプレーヤーは、「電気自動車」「自動運転」「新たなサービス」への対応(対応有無・度合い、狙う技術・ビジネスにおけるポジション)を検討・実施し、好適な業態変化を実現することが望まれる。

 上述の過去のイノベーション・戦略の事例から抽出される視点等を参考に、自動車メーカーにおける好ましい業態変化を想定すると共に、業態変化において重要な視点を整理して戦略モデルを作成した(図6参照)。

 3.調査分析

自動運転・電気自動車・サービス分野を中心に特許調査し、自動車業界のプレーヤーにおける動向(一部)を分析すると共に、戦略モデルを基準にした評価等をすることを試みる。

1)調査概要

○調査対象:自動車メーカー3社(C1~C3)

○調査分野:「電気自動車」「自動運転」「サービス」の3分野

○調査方法:使用DB J-PlatPat,期間 2013-2017年分(5年間分),      

○検索項目:識別番号×IPC×キーワード(条件詳細は省略)

○評価:上記戦略モデルを基準にC1~C3を簡易評価する。

 

2)調査結果および評価

 調査結果(概要)および評価結果(表1)、評価概要(短、中長期:表2)を示す。

<分野>

★ 電気自動車:件数は維持傾向(安定的な開発期)。

★ 自動運転:2016年から急増。特にC3は急増。

★サービス:C1~3はいずれも件数が少ない。中長期的に不利になる。

<自動車メーカー:C1~C3)>

◆C1:◎電気自動車・自動運転ともに件数多。△×:サービスの件数は少ない。

◆C2:○△電気自動車。△自動運転(自動)の件数少ない。×サービスの件数は少ない(但し、車を利用したサービスの目線あり)。

◆C3:○△電気自動車。○自動運転は急増(特に自動運転(自動))。××サービスの件数は非常少ない。

 

☆実現時期等を考慮し、ビジネス保護等に役立つ時期を「短期:電気自動車、自動運転(支援)」「中・長期:自動運転(自動)、サービス」として、短期+中長期における対応度合いを把握することを試みた(表2参照)。

 短期的には好適に対応しているが、中・長期的には「自動運転」にてC1と、C2,3とでは差が出ることが予想される。更には、「サービス」では「他業界企業」に主導される可能性があることがわかった。

 

<その他>

※標準:C1は電気自動車・自動運転の件数が多く優位。C3は自動運転(自動)の件数が急増しているため今後優位性UPか。

※情報プラットフォーム・OS:連携状況や標準化状況等、今後の調査・ウォッチングが必要。

 

4.知財活動の変革

 知財活動においても取り扱いの対象が「モノ」から「データ・システム・ビジネス仕組み(サービス)」に変化している。また、発明創出ポイントや権利化の視点も変化してきている。更にはIPランドスケープ等の周知化により、業務内容は更に複雑化してきている。知財活動においても変革期であるといえる。

 今後、自動車業界における知財活動として、「システム(IT,IoT、サービス)特許の権利化」「データ保護」「知財情報調査・分析」のほか、知財部門が経営・事業に役立つIPを創出する「IPクリエイト(ブループリントIP戦略)」が重要になると考える。

 

 

 

5.まとめ

自動車産業においては、自動運転技術、電気自動車や新サービスの出現等、大きな変革期をむかえている。自動車業界のプレーヤーは、外部環境・技術動向、過去のイノベーション・戦略の事例から抽出される視点により好適に業態変化することが望まれる。「電気自動車」「自動運転」「新たなサービス」分野における対応と優位性の確保は最重要である。特に「新たなサービス」への対応は重要であり、更には情報プラットフォーマー・OS提供者等、新しい立ち位置についても重要課題である。

また、知財活動については、通常知財業務のほか、「知財情報分析」および「Pクリエイト(ブループリントIP戦略)は、経営・事業に役立つ活動として重要性を増していくと考える。

 

参考文献

[1] 経済産業省.自動車新時代戦略会議(第1回)資料,2018.4

[2] みずほフィナンシャルグループリサーチ&コンサルティングユニット

みずほ銀行 産業調査部. Mizuho Industry Focus Vol. 205,自動車電動化の新時代,2018.2 

 

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